先日、八王子天神町OMOYAのオープン記念として、南部良太さんをお招きしトークイベントを開催しました。
南部さんの肩書きは「農業デザイナー」。
初めて聞いた時は、どういうことだろう? と想像できずにいましたが、今回お話を聞いてなるほど! と納得したのです。
10年前から東京の国分寺にお住まいの南部さん。
国分寺は、じつは農地面積12%で東京都で3番目に多い地域です。
しかし、近年は後継者不足などで維持が難しく、農地がどんどんなくなっている現状があります。
当時、独立したてだった南部さんは、農地がなくなっていく様にさみしさを感じ、デザインを通して何かできないかなと考えたそうです。
そんな思いを胸に、初めは「国分寺中村農園」との出会いから、ロゴマークをデザイン。
その後も、農家さんの看板や商品パッケージ、商業施設のマルシェのポスター、収穫体験イベントのブランディングなど、さまざまな方との関わりの中で「農と食」にまつわるお仕事を続けてきました。
南部さんのデザインは、ものをつくるだけではありません。
「こくベジ」という国分寺産の野菜を広めるプロジェクトでは、ビジュアルデザインを担当するとともに、農家さんから採れた野菜を飲食店に自ら配達することを7〜8年前から続けています。
飲食店はその野菜を使って「こくベジメニュー」として、それぞれの店で提供する仕組み。
自ら配達することで、農家さんと飲食店とコミュニケーションを丁寧にとり、新鮮な地元野菜を扱う意義を理解してもらいたいと言います。
始めた当時は10店程度だった「こくベジ」協力店は、現在では90店に広がっているそうです。
また、南部さんは自分たちがかかわらずとも、「こくベジ」というネーミングを、農家や飲食店さんが勝手に使ってくれることがとてもうれしいと言います。
デザイナーの手を離れ、「こくベジ」の概念がまちの暮らしに馴染んでいく様子が感じられました。
他にも南部さんは、マルシェを企画したり、赤坂見附に立つ食と農をテーマにしたビル「東京農村」の企画運営であったり、はたまたお子さんの通学路の見守り活動だったり、色々な形でまちに関わっています。
そしてこれからは、農地に対して農家さんと新しいチャレンジをしていきたいと語ってくれました。
常にポジティブに、人との関わりを楽しみながら活動する南部さん。
デザインは、共感を広げるための一つの手段だと言います。
そこに共通するのは、
「行動からの体験を大切にすること」
「自分ごとに落とし込むこと」
「自分がいなくなっても続けられること」
「日常に溶け込むこと」
自分の行動と体験から始まり、それが他者へ広がり、まちの日常になっていく。
八王子天神町OMOYAでも、そんな風景が見られたら良いなとワクワクします。(玉木)
【イベント概要】
https://peatix.com/event/3392143/view
八王子天神町OMOYA、いよいよカミングスーン! 本格オープンを記念して、できたてのコモンスペースに続々トークゲストをお招きしていきます!
OMOYAのロゴやフライヤーのデザインを担当した南部良太さんは「農業デザイナー」として地域の食に密着したデザインを手がける傍ら、自ら「こくベジ」スタッフとして野菜配達もおこない、地場野菜と人をつないで新たな価値を地域に生み出し続けています。
同じ街で生活していても接点のない人や場所同士をつなぐ、デザインの力と可能性を南部さんに教えていただきましょう! 地域の暮らしをもっと楽しくするためにデザイナーであってもなくても一緒にできること、考えてみませんか。
●日時:2022年10月29日(土)14:00-15:30
●会場:八王子天神町OMOYAコモンスペース(オンライン配信あり)
●定員:会場15名+オンライン
●参加費:1500円(会場参加/オンラインともに)
●ゲスト:南部良太さん(農業デザイナー)
グラフィックデザイナー/一般社団法人MURA代表理事。国分寺で地産地消のプロジェクト「こくベジ」の イベント企画・デザイン・配達を担当。また農家さんのロゴ、パッケージのデザインをしている。