家でこもる人たちに送る「距離観コラム」。本日は乙川がお送りいたします。
家にいる時間が長くなり、一緒にいる家族に「今、話しかけられたくない」って時、自分がどのように対応しているのかを省みる機会が多くなりました。
作業や仕事に追われている時の「今、話しかけられたくない」よりも、特に何か作業をしているわけではない時の「今話しかけられたくない」が、一番厄介なのかもなあとぼんやり。ちょっと元気がなかったり、気持ちに余裕がなかったりする、モヤモヤした気分から来るやつです。
我が家では、そんな状態の人はハンモックに入って過ごします。
賃貸住まいのため、壁に吊るすタイプのハンモックは設置が難しいのですが、うちにあるのは床置きタイプのハンモック。
椅子に座っている人の目線よりも低く、他の人から少しばかり話しかけられづらい環境。寝ながら布に包まれているという状態も相まって、そこに入っている人に対しては「のんびりしたいんだなー」、「ちょっと放っておいてあげよう」とする暗黙の了解が、家族の中に生まれていることに気づきました。
「今、話しかけられたくない」という自分の状態(ステータス)を、できるだけ率直に伝えて、自分以外の人との都合をすり合わせるようにすることを、家族のコミュニケーションの方法として続けてきていますが、話す元気がない時、考えがまとまらない時は、一旦気持ちを落ち着けるための退避場所もやはり必要な気がします。
以前は公園に遊びに行くとか、一人で買い物に行くとかして、物理的に離れることが比較的簡単にできていたわけですが、同じ空間を共有する時間が長くなってからは、「やり過ごしつつ」も「自分の状態を他の人にもなんとなく知っていてもらう」ことが、より大切になってきたなという感じ。状態を伝え合うのに、言葉だけではうまくいかない時もあるし、かといって態度だけで察し合うのも限界があるのは、家族であること関係なく、どんな人付き合いにも共通するものなのではと思ったりして。
うちはたまたまハンモックが「ちょっとだけ放っておいてほしい」のメッセージを示すのに適した場所になっていました。意識的にならないと声かけはしづらいけど、何をしているかわからないほど閉じこもりっぱなしでもない場所だったというのがミソなのかなと思っています。みなさまのおうちにもそんな機能を担っている場所があったら、ぜひ教えてくださいませー。
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